君と僕の白昼夢


俺達は保健室を後にすると2人で帰路についた。

前から変わらない道。

歩道は相変わらず狭い。脇に生える草が長く伸び、歩く度に足に当たってくすぐったい。

車の通りも、少なかった。


「早く治るといいね」

「うん」

「珍しいね。卓が風邪とか…」

「まあ人間だしな」

もう、日和の死なんて見たくもない。

感じたくもない。あんなのもう2度とゴメンだ。

だから。






そしてその後は、ほとんど何も話さないまま別れ道にくる。

「じゃあ…また明日」

俺が先に日和に言った。

「うん、バイバイ」

俺の言葉に日和は笑顔で手を振った。



お互いに背を向けて歩き出す。

腕時計を見てみた。

4時20分。

運命の時まであと一時間弱だ。

俺は歩くスピードを早めて家を目指した。


何も考えずに。



< 41 / 198 >

この作品をシェア

pagetop