君と僕の白昼夢
俺達は保健室を後にすると2人で帰路についた。
前から変わらない道。
歩道は相変わらず狭い。脇に生える草が長く伸び、歩く度に足に当たってくすぐったい。
車の通りも、少なかった。
「早く治るといいね」
「うん」
「珍しいね。卓が風邪とか…」
「まあ人間だしな」
もう、日和の死なんて見たくもない。
感じたくもない。あんなのもう2度とゴメンだ。
だから。
そしてその後は、ほとんど何も話さないまま別れ道にくる。
「じゃあ…また明日」
俺が先に日和に言った。
「うん、バイバイ」
俺の言葉に日和は笑顔で手を振った。
お互いに背を向けて歩き出す。
腕時計を見てみた。
4時20分。
運命の時まであと一時間弱だ。
俺は歩くスピードを早めて家を目指した。
何も考えずに。