君と僕の白昼夢


なんと俺が叫んだ時、日和は道路の真ん中にいたのだ。

立ち止まって振り返り、俺を見る日和。




その瞬間…



ドンッ




日和は一瞬で俺の視界から消えた。




理解するのに時間がかかった。




横から来た車に日和は飛ばされていた。






う…そだろ…


そうだ…そうじゃないか…

今までと同じ死に方だってあるんだ。だから警戒してたのに。


日和から大量の血が流れ出る。

目の前でまた日和は死んだ。

腕も脚も折れてはいけない方向に曲がり、髪の毛から何も映さない、暗い瞳が見えた。

俺は震え上がった。


がんばろうと、決めたはずなのに。


いざ死を間近で見ると…


やっぱり足が動かない。


血の臭いに、吐き気がした。


そのとき見た腕時計の針が指す時間は、5時10分だった。


< 69 / 198 >

この作品をシェア

pagetop