君と僕の白昼夢


どこに行こうか…

俺は顔をあげ、街を見下ろした。

目の前には海、後ろには山。



俺は悩みに悩んだ挙句、海に決めた。


海だったら広いし死にようがないだろう。

そう思って海を見つめていると、屋上の扉が開く音がした。

音のする方を見ると心配そうな顔をした日和が居た。

「……卓…だ、大丈夫?」

静かに俺のいる方へ足を進める日和。

「ああ、うんごめん」

「急に何したのかと…」

「何でもない。夢でも見てたのかも」

俺は微笑した。

日和は俺の隣に来てフェンスに手をかけた。

「わぁ…景色綺麗なんだね」

心地いい風に日和の黒髪が揺れる。

日和は目を輝かせて海を見つめている。

「…日和」

「ん?」

俺に呼ばれた日和はその目を俺に向ける。

「放課後海でも行かね?」

「えっ…?海?」

日和はまた海を見つめる。

俺が海に誘うとか…本当にらしくない。

< 74 / 198 >

この作品をシェア

pagetop