君と僕の白昼夢
どこに行こうか…
俺は顔をあげ、街を見下ろした。
目の前には海、後ろには山。
…
俺は悩みに悩んだ挙句、海に決めた。
海だったら広いし死にようがないだろう。
そう思って海を見つめていると、屋上の扉が開く音がした。
音のする方を見ると心配そうな顔をした日和が居た。
「……卓…だ、大丈夫?」
静かに俺のいる方へ足を進める日和。
「ああ、うんごめん」
「急に何したのかと…」
「何でもない。夢でも見てたのかも」
俺は微笑した。
日和は俺の隣に来てフェンスに手をかけた。
「わぁ…景色綺麗なんだね」
心地いい風に日和の黒髪が揺れる。
日和は目を輝かせて海を見つめている。
「…日和」
「ん?」
俺に呼ばれた日和はその目を俺に向ける。
「放課後海でも行かね?」
「えっ…?海?」
日和はまた海を見つめる。
俺が海に誘うとか…本当にらしくない。