君と僕の白昼夢
「暇だろ」
絶対に日和は暇なんだから。100%。
「ひ…暇だけど…」
「じゃあいいよな」
「え、うん…」
強引に日和を海へ連れていく。
何が何でも。思いついた策は試してみるしかないんだから。
状況が整理できていない日和の腕を引っ張り、屋上を後にする。
階段をおりていると嫌な考えが頭をよぎる。
最悪の結末が。
今までの日和の最期の姿が。
俺はぐっと堪え、イメージを消す。
そうさせない為に俺がいる。
俺が…
日和はその時何を考えて居たのだろう。
昼休みで生徒が騒ぐ廊下を、俺たちは無言で通り過ぎ、教室へ向かった。
沈黙が怖く感じられた。
教室の扉を開け、中に入ると俺の席に健太郎が座っていた。
そして俺に気づくと
「大丈夫か?」
少し笑いながら聞いてきた。
「ああ、ごめん。変な夢でも見たのかも」
俺は苦笑した。
「川島から聞いた時はびっくりしたよ。
お前が泣いてるとか」
「私も驚いたよ!」
2人は笑っていた。
ああ…2人のいる時空に戻りたい。
お前たちの過ごしている世界に行きたい。
ここは一体どこなのだろう。
なぜ俺は迷い込んだのか。
2人を見ているとそんな悲観的なことを考えざるを得なかった。