プレゼントには消しゴムをください。



「な………なんで?」

――げ、幻覚?

おろおろする私に、彼は続けた。

「イスでしょ?」

「え?」

「イスじゃない?」

なんのことか分からずぽかんとしていると、「立って」と言われる。


「あ、直ってるんだ。」

彼はイスをちょっと触って、ふっと笑った。
それからちょっとバツの悪そうな顔になってこちらを見た。


「いやその………痛いって言ったからさ………昨日ここのイス、釘が出てて痛いって人が言ってるのを聞いたんだ。だから……………」

「そう…………なんだ。」

「うん。」


何となくお互い、下を向く。


「消しゴムが……」

「うん?」

「消しゴムがちっちゃすぎて、爪が引っ掛かっちゃって。」

何言ってるんだろ、私。
向こうからしたら私は知らない人。こんなどうでもいいこと言って――――

「ああ…ちょっと待ってて。」



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