強気な彼女は逃走中
『夜都ね…誰も好きになって付き合ったことないんだって。私の3年は都合のいい女だったみたい。』

黙って聞いてくれてる立花。

『なんだか今まで怒ってたのに、すっごく悲しくなっちゃった。』

ポツポツと少しずつ話す私に、根気強く聞き役に徹してくれる。

その間もポロポロと涙は溢れてくるけど、止められないからほっておいた。

拭ってもでてくるんだから、しょうがない。

『私はすごく好きだったんだけどなぁ…。』

紅茶の揺れるマグカップを眺めながら、つぶやくと。

「最後にそれを言いなさいよ。天城くんに全部ぶつけて、終わりにしたらいいわ。それで、ちゃんと前に進みなさい。」

優しく強い声がした。

私はその言葉で、心が決まったような気がした。
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