強気な彼女は逃走中
『痛っ!』

我慢できなくて、声をあげる。

なんか情けなくなって泣けてきた。

今の中途半端な自分もイヤだし、酔っぱらいに絡まれて何にもできない自分もイヤだ。

いつもはもっと簡単にそつなく対応できるのに。

弱々しくなってるな。

そんな風に思ってた時だった。

「何やってんの?お前、こんなところでナンパか?雰囲気いいバーであほか。」

呆れた声がする。

毎日聞いてる声が響く。

「なんだよっ!遅れてきたくせに横やりすんなよ、シオン!」

バコッといい音がして、やっと腕が外れてくれた。

シオンが男の子の頭を殴る音。

『シオン~!』

半泣き状態でシオンに抱きつくと、背中をポンポンと叩いてくれた。

はぁ。シオンの匂い落ち着く。

「シオン~!ちょっと顔がいーからって、そのおねぇさんはオレが先に見つけたんだぞっ!」

「はぁ??オレら、何十年の仲だぞ。二人で住んでるし。」

「なんだって~!お前の彼女ってことかっ?」

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