強気な彼女は逃走中
『帰る。てか、帰りたい。帰らせて。』

「ダメだ。」

さっきからこの繰り返し。

しまいには、「風呂入ってこい。」って…。

何故?!

1秒でも早く帰りたいのに!

『イヤだ。それに私の物はもう何もないはずよ。着替えも全部もって帰ったもん。』

その言葉に夜都は、こちらをちらっとみてから。

「あるぞ。全部新しく買ってきた。近々拉致る予定だったから。」

『はぁぁぁ?!何言ってんの?』

怖いわっ!

なんだか、落ち込んでたはずなんだけど、怒りの方が勝ってきて悲しい気持ちが薄れてる気がする。

「とにかく風呂で酒抜いてこい。それから話しするぞ。」

何言ってもだめね。でも…。

『泊まらないからね!』

それだけは宣言して、立ち上がってお風呂場まで気が重たいまま向かう。

夜都のペースにまんまと嵌められてる気がするわ。

何考えてんの、この男は。
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