強気な彼女は逃走中
何度めのため息だろう?

「今まで付き合ってきたヤツを好きになったことは一度もない。でも…今の彼女は、初めて愛した女だ。好きなんて時限が違うんだよ。」

そう、言ったんだと。

真っ直ぐ見つめて言うから、勝手に涙が溢れてくる。

ああ、私、強がって逃げまくってても、本当は大好きだったんだなぁ。

優しく涙を拭ってくれて、そのまま両頬をはさんだままでいる夜都。

真っ正面から向き合って、しっかり顔を見るのなんて、どれくらいぶりだろう?

優しく笑う夜都を見たのは、いつが最後?

それくらい、私達の間に余裕がなかったのかもしれない。

思いは変わらないのに、相手をお互いにきちんと見れてなかったのかも。

『夜都、大好き。』

素直になるよ、離れられないってわかったから。

「オレは愛してるよ。」

伝えることは、大事なことだね。

それを聞いただけで、何もかも忘れて頑張れるわ。
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