強気な彼女は逃走中
夜都にぎゅっと抱きしめられて、はっきり言って身動きとれません。

ちょっと苦しいかも。

『夜都~!息苦しい!』

慌てて緩めてくれたけど、抱きしめられたまま。

目線はずっとはぁちゃんに向いてる。

睨んでるといったほうが正しいかも?

「シオン、説明。」

夜都ははぁちゃんじゃなくて、シオンに向き直って説明を促してる。

第3者的な見方で話せってこと?

「夜都くん、大丈夫ですよ!立花さんの弟でオレの友達なんで。立花さんやオレのまえでは変なことはできませんから。ただ…単独ではちょっと危ないですが。」

「見張っとけよ。」

「了解!」

いやいや、はぁちゃんは危なくないから!

こんなに可愛いのに。

「アリア、今危なくないとか思ってただろ?男はシオン以外は全員危険だと思っても、大げさじゃねーぞ。わかったか?」

そんなむちゃくちゃな。

そんなこと言い出すなんて、びっくり。

夜都じゃないみたい!

『じゃあ、夜都も危険なのね~!』

冗談っぽく返してみたら。

ニヤッと口角を上げ、耳元で、

「1番気をつけろ…?」

そう囁いた。

思わず、耳に手をあて仰け反りながら、赤くなった頬に手をあてて、夜都を睨んだ。

「その目も逆効果!」
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