世界が終わる音を聴いた
遠い、遠い日の想い出が一気に溢れでた。
少女は母に手を引かれ、すでにここから立ち去った。
面影はどこにもなかった。
彼女の中に、ルナを探そうとしたところで、きっといない。
彼女は今を生きている。
そんなことはわかっている。
けれど……。
「ようやく、見つけた」
涙を流して俺は呟いた。
それが素直な、心に抱いた感想だった。
溌剌とした印象だった。
とても。
それはともすれば、ルナの魂がそうさせたのかもしれない。
俺のことを、キレイだと言った。
その心に、魂に、俺を想う気持ちがあったと思っても、許されるだろうか?
見つけたのは偶然だった。
けれどそれは必然だった。
「もう、見失わない。君の魂を送るのは、俺だ」
だから安心して、生きてくれ。
君を見守り続けるから。
ようやく見つけた君の、その最後の瞬間まで。
何度も、何度だって、見守り続けるから。
だからどうか。
最後の瞬間まで、君よ、どうか“生きて”くれ、と。
俺は何度も願うよ。
今でも。
こらからも、永遠に。
たったひとりの君を・完