世界が終わる音を聴いた
部屋に戻ると、ドサッと荷物を置く。
それと同時に、私もベッドサイドに腰を下ろした。
なんだかとても疲れた気がする。
何もしていないのに。
そのまま後ろへバタンと倒れて、現実を遮るように腕で視界を閉じた。
「普通の一日なのに、何でこんなに疲れちゃうかな……」
思わず口からこぼれた愚痴は本音だ。
理由もはっきりしないままに沈んだ心は、浮上するのに時間がかかる。
「……To calling of love……」
呟きのように歌うと、閉じた瞳から涙が伝う。
一度流れた涙は、止まることなく、するすると流れ出る。
愛が呼ぶ方へ、ってどこなんだろう。
どこから私を呼んでる?
報われない気持ちでも、愛は私を呼んでいるのだろうか。
誰かが作った歌に、教示を求めることが、そもそも間違っているのだろうけれど。
「ヒナちゃん、会いたい……」
呟いたって、叶うはずもなく。
その現実にもう一度打ちのめされる。
ゴロンと横に転がって、枕を抱き寄せる。
小さく丸まって、枕を抱き締めて、自分の中から湧き出るものをそのままにしていた。
24歳で姉はもう二度と会えない場所へと旅立った。
3歳違いの姉の歳を追い越したのは2年前。
縮まるはずのなかった年齢差は埋まり、そうして今度は開いていく。
5年という月日を経ても、会いたいと思う気持ちは尽きない。
よく言う、心の中にいるんだよ、って言葉は嫌いじゃない。
嘘でもないと思う。
自分と向き合うときに、共に答えを導いてくれると、そう感じるから。
だけど、そうじゃなくて。
会いたいと。
ただ、会いたいと思う、その瞬間がある。
無償に寂しくなる瞬間がある。
会って話したくなるときがある。
あるんだよ。
……ねぇ、ヒナちゃん。