ビンの中の王子様
どん!と砂場に砂煙があがった。裕香は思わず両手で目をふさぐ。

 と同時に、うら若い男の絶叫が、園庭にとどろいた。

「ぐわあああ―――――――っっっ!!!
 げほっげほっげぇ―――――――っっ!!!」

 砂煙が上がる中で、裕香がそうっと指の間からのぞいて見ると、王子様が四つんばいで咳き込みながら苦しんでいた。

全身、砂まみれ。

体のサイズはすっかり大きくなっている。

裕香の兄で現在中1の敬一郎より、だいぶ背が高そうだった。

冠はずりおちて、金の巻き毛にひっかかり右耳のあたりでぶらぶらしている。
シーチキンの缶みたいに、太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。


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