ビンの中の王子様
(2)怒涛の自己紹介
にらみ合うふたり。
一番北の園舎から、園児達のあまりじょうずでない歌声が聞こえている。
「王子様じゃないなら、誰なのよ」
「人様に名前を聞く前に、自分から名乗るもんだろうーがよ」
裕香はふん、と鼻をならした。
「やーね、偉そうに。子供相手にハードル高くしちゃってさ!」
王子モドキが、あきれた顔になる。
「おまえ、いったいいくつなんだよ」
裕香は右手をぱっとひろげて、前に突き刺した。
「私の名前は上月真由(こうづきまゆ)。
天下分け目の5歳児よ!」
「意味わかんねぇ」
「さあ、今度はあなたの番よ偽王子。名前は?年はいくつ?」
「目がふたつに口ひとつ」
「ふざけないでっ!」
ごっ!
鈍い音がして偽王子がひっくりかえった。
裕香の投げたスコップが、偽王子の頭に当たって砂場の外へ跳ね飛ばされていく。
「いったたたたた――――!!!
殺す気かボケ―っ!」
「そっちがふざけるからいけないんでしょう?
さあ!とっとと本当のことを吐きなさいよ!
あなたは誰?なぜピンの中にいたの?」
一番北の園舎から、園児達のあまりじょうずでない歌声が聞こえている。
「王子様じゃないなら、誰なのよ」
「人様に名前を聞く前に、自分から名乗るもんだろうーがよ」
裕香はふん、と鼻をならした。
「やーね、偉そうに。子供相手にハードル高くしちゃってさ!」
王子モドキが、あきれた顔になる。
「おまえ、いったいいくつなんだよ」
裕香は右手をぱっとひろげて、前に突き刺した。
「私の名前は上月真由(こうづきまゆ)。
天下分け目の5歳児よ!」
「意味わかんねぇ」
「さあ、今度はあなたの番よ偽王子。名前は?年はいくつ?」
「目がふたつに口ひとつ」
「ふざけないでっ!」
ごっ!
鈍い音がして偽王子がひっくりかえった。
裕香の投げたスコップが、偽王子の頭に当たって砂場の外へ跳ね飛ばされていく。
「いったたたたた――――!!!
殺す気かボケ―っ!」
「そっちがふざけるからいけないんでしょう?
さあ!とっとと本当のことを吐きなさいよ!
あなたは誰?なぜピンの中にいたの?」