偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
どうにも制御できなくなって。
胸に抱え込んでいた気持ちを爆発させるようにブチまけると、柳原さんから大きなため息だけが返って来た。
……きっと呆れたのだろう。
「ほんっとにお前は……バカだな」
はい、バカですよ。そう言われると思ってた。
感情なんていらない、お互いのメリットのために、って話だったのに。
今さら感情論を持ち出すなんて。
…愛情が欲しい、だなんて言い出されたら笑っちゃうんだろうな。
「さっき兼古がもう1つ言ってただろう?」
「…え?」
「俺がなぜこの結婚話を持ち出したのか…俺側のメリットの話」
あ、あぁ…。そう言えば。
私は柳原さん側のメリットは、ゲイを隠すことだと思っていた。
だけどそうじゃないのなら、いったい何なのだろう?
なぜか兼古くんはわかっていた、って言ってたけども。