偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

どうにも制御できなくなって。
胸に抱え込んでいた気持ちを爆発させるようにブチまけると、柳原さんから大きなため息だけが返って来た。

……きっと呆れたのだろう。


「ほんっとにお前は……バカだな」


はい、バカですよ。そう言われると思ってた。

感情なんていらない、お互いのメリットのために、って話だったのに。
今さら感情論を持ち出すなんて。

…愛情が欲しい、だなんて言い出されたら笑っちゃうんだろうな。


「さっき兼古がもう1つ言ってただろう?」

「…え?」

「俺がなぜこの結婚話を持ち出したのか…俺側のメリットの話」


あ、あぁ…。そう言えば。
私は柳原さん側のメリットは、ゲイを隠すことだと思っていた。

だけどそうじゃないのなら、いったい何なのだろう?
なぜか兼古くんはわかっていた、って言ってたけども。

< 105 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop