偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「それって……」
「全部口実だし、言い訳だ。
お互いのメリットのために結婚しようだとか、もうお互いいい歳だから後がないとか。
全部全部、本心が言えなかった俺の、取り繕った言い訳」
柳原さんが私の涙に気づいて、親指でそっと拭う。
彼の目を見ると、そこにはもう怒りの色は消えていた。
「最初から俺の狙いはお前自身だ。お前を手に入れたかっただけ」
「……あ、あの……」
「俺もお前と、ちゃんと心から想いあう恋愛がしたい」
そう言ったと同時に、彼の顔が近づいてきて。
俺様とは正反対の、優しい優しいキスが降って来た。
「俺は最初からお前に恋愛してたんだから、お前が落ちてくるのをずっと待ってたんだよ、美衣子。
いくらなんでも、好きでも何でもない女と結婚なんてできるか」
信じられない。
柳原さんが私をずっと想ってくれていたなんて。
そう思ったら嬉しくて…嬉しくて…
自然と目の前の彼の胸に自分から飛び込んでいた。