偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「じゃ、結婚の話を進めながら恋愛する、ってのは?」
「…ややこしいですね」
「結婚前提、てことだろ。バカだな」
「バカはあなたです!!」
間髪入れずに言い返すと、彼がアハハと高笑いした。
やっぱり……楽しいな。
この人と一緒にいると、何故か私は楽しいんだ。
いい歳した大人が、歩きながら言い合って…じゃれあって。
ずっとずっと、こうして一緒に過ごしていきたいな。
あなたとなら意外に? 今以上に大きく愛を育めそう。
「ほら美衣子、行くぞ」
差し出された彼の手に、私は自分の手をそっと乗せる。
この温かで大きな手を、一生私は放さないだろう。
――― 終わり