偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
柴本 美衣子
歳は確か…28だったかな。
とびきり美人というわけじゃないが、透明感があって清楚だ。
だが、世間的に言うと彼女は地味で目立たないタイプ。
だからバカな男どもは気づかないんだ。
柴本が可愛いということに。
そうだ。今度柴本を飲みに誘ってみようか。
いや待て。
あれは酒が飲めそうな感じには思えないな。
私、お水しか飲まないんです、なんて言われたらどーするんだ。
じゃあ水を飲みに行こう!なんて切り返せるほど、俺は機転がきかないぞ?
ま、いきなり誘っても来ない可能性がある。
ガードは固そうだ。
年末の忘年会なんかで、自然と距離をつめてからのほうがいいか。
好きな酒とか食べ物とか、それとなく訊いておいて。
…なんて、悠長なことを思っていたら、彼女が転勤になると聞いた。
埼玉支店と本社は、大して距離が離れているわけじゃない。
だけど、毎日見れていた顔がこれで見られなくなる。