偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「すみません。変な言い方して。
私の友達がここ何年か不妊治療を頑張ってるんです。
その子は愛する旦那様との子供が欲しいって、すごく努力してて…。
だからちょっとそういう話は敏感になっちゃいました」
「ううん。私こそごめん…」
謝らなきゃいけないのは私のほうだ。
ふと、ここで気が付いた。
私は愛する人の子どもが産みたい、という動機ではないことに。
誰かに傍にいてほしいから、という理由だけで子供がほしいと思うのは、ある種のエゴかもしれない。
パートナーがいないんだから最初からシングルマザーだ。
しかも、子どもが大きくなったとき、自分の父親は?と訊かれたら……私はどう答えたらいいんだろう。
そんなことも考えられなかったなんて、心底情けなくて涙が出そうになる。
「私、もう33だから内心焦ってたんだろうね。
ほら私って…両親を早くに亡くしてるし、去年おばあちゃんも天国に逝っちゃったから、一人ぼっちだし」
何故だろうか。
自分の身の上ばなしである事実を口にしただけなのに、寂しいを通り超えて怖くなった。
孤独って…怖い。
改めて考えたら怖くて。押しつぶされそう。