偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

茂人が仕事にまい進していたのは知っていたし、応援したい気持ちもあったから、その申し出を受け入れた。

なのに。
私と別れたあとすぐ、他の女性とできちゃった結婚をしたという噂が私の耳に届いたのだ。


……なんだそれ。
要するに、二股してたんでしょ。

仕事が忙しい、なんて嘘っぱち。


そんな衝撃的な出来事があってから、男性の言葉がどこか今ひとつ信用できない。
それがどんなに紳士的で良い人の言葉だったとしても。
どうしても、丸々鵜呑みにはできなくなってしまった。


「もう! こじらせ女は卒業しましょうよ!」

「こじらせ女って…」

「美衣子さんって付き合ってる人いると思ってたんで、今まであえて誘いませんでしたけど。今度婚活のパーティーとかちょっとした街コンイベントあったら一緒に行きましょ!」

「そういうの、苦手だけどなぁ、私」

「そんなこと言ったって、会社にいい男がいるわけでもないし…」


それは…言えてる。

いい男かどうかは別としたって。
独身でなおかつ私と合いそうな人なんて、せまい会社の中にいるとは思えない。

世の中で言う『出会いがない』とはこのことだ。


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