偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「もったいないですよねぇ、柳原さん」
「……え、柳原さん?」
何故ここでその名前が出てくるんだか。
不思議に思って唐揚げを口に運びながらも知香ちゃんの顔を伺い見た。
「だって。美衣子さんと仲良さそうなのにぃ~」
「…そうかな?」
「そうですよ!
それに優良物件じゃないですか。けっこうなイケメンですし!」
「あぁ…まぁ…顔はそうだね」
「独身でイケメンで彼女なし。
ほんとなら、行けーー!って美衣子さんの背中押してるところです」
「あはは……」
思わず乾いた笑いが漏れた。
知香ちゃんは面白くなさそうに、枝豆をもてあそんでる。
独身でイケメンで彼女なし……
普通ならば知香ちゃんの言うように誰もが飛びつきそうな優良物件だ。
皆が知る限り、性格に難もない。