偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「柴本、あのさぁ…」
知香ちゃんからそんな情報を聞いた同じ日。
コピー室で一人で居るところに、当該の旬な人物が私の前に現れた。
「柳原さん。どうしたんですか? コピー機、使います?」
「………」
いつものようにフランクに返事を返したのだけど。
話しかけたほうの柳原さんが何故かそのあと一瞬黙り込んだ。
「いや。コピーじゃなくて」
どうしたのだろう。
機嫌でも悪いんだろうか。
今日の柳原さんにはいつもの温厚な笑顔がない。
雰囲気が違う。
「俺、お前に話がある」
「話…ですか? 何でしょう?」
「ここでする話じゃない。仕事終わってから飯につきあえ」
「……はぁ……」