偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
その後しばらくすると、スマホに柳原さんから連絡が来た。
待ち合わせで指定されたのは、居酒屋ではなくレストラン。
あぁ、そっか。
飲みに行こう、ではなくて、飯につきあえって言ってたもんね。
仕事が終わり、指定された場所に赴くと、そこはフレンチレストランで。
……なんだか小洒落てて、ちょっと緊張する。
値段も高そうだなぁ…なんてお財布の心配をしながらも中へ入ると、すぐに柳原さんの姿が確認できた。
「すいません、お待たせしてしまって」
「いや。大して待ってはない」
ええ。遅刻はしていないはずですからね。
というか、やっぱり今日の柳原さんは変だ。
怒ってはないんだろうけど、愛想がないというか何というか…いつもと違う。
「柳原さんのことは埼玉支店にいるころから知ってますけど……
こういうのは初めてですね。二人でご飯食べるなんて」
「ああ。お前を誘ってもついて来そうになかったからな」
そんな風に思われていたんだ。愛想のないヤツだって…。
というか、それは私が実際に断ってから思ってほしい。
誘ったことなんて今まで一度もないじゃないか。
柳原さんが店員さんに向けて手をあげて合図する。