偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

その後しばらくすると、スマホに柳原さんから連絡が来た。
待ち合わせで指定されたのは、居酒屋ではなくレストラン。

あぁ、そっか。
飲みに行こう、ではなくて、飯につきあえって言ってたもんね。


仕事が終わり、指定された場所に赴くと、そこはフレンチレストランで。

……なんだか小洒落てて、ちょっと緊張する。

値段も高そうだなぁ…なんてお財布の心配をしながらも中へ入ると、すぐに柳原さんの姿が確認できた。


「すいません、お待たせしてしまって」

「いや。大して待ってはない」


ええ。遅刻はしていないはずですからね。

というか、やっぱり今日の柳原さんは変だ。
怒ってはないんだろうけど、愛想がないというか何というか…いつもと違う。


「柳原さんのことは埼玉支店にいるころから知ってますけど……
こういうのは初めてですね。二人でご飯食べるなんて」

「ああ。お前を誘ってもついて来そうになかったからな」


そんな風に思われていたんだ。愛想のないヤツだって…。
というか、それは私が実際に断ってから思ってほしい。
誘ったことなんて今まで一度もないじゃないか。


柳原さんが店員さんに向けて手をあげて合図する。
< 24 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop