偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「料理はコースを頼んでおいたから」
「そう…ですか。ありがとうございます」
どんなコースなんだ……
そう思いながらもお料理を待っていると、ソムリエらしき人が現れて赤ワインが用意された。
「飲めるか?」
恐縮する私に対し、柳原さんが心配そうに尋ねてくる。
「はい……少しなら」
そういうのは、ワインがテーブルに届く前に訊いてもらいたい。
私がひと口も飲めない下戸だったらどうするのさ。
出されたワインも、お値段が高そうだ。
柳原さんはいったい私にどんな相談事をするんだろう?
こんなに私をもてなさなきゃならないほどの、深刻な相談なんだろうか。
しかしお料理が続々と運ばれてきても、柳原さんは他愛ない会話をするだけで、一向に核心めいた話をしてこない。
「柳原さん、今日は何かお話があったんですよね?」