偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
『安定期に入るまではご主人さまにも協力してもらって ――― 』
女医さんが笑顔で説明をサクサクと進める。
ていうか、ちょっと待って。
私、妊娠してるの? 誰の子を身ごもったの?!
父親は誰だろう?
ふと、そういう思考をめぐらせた瞬間、そこでバチっと目が覚めた。
見上げている天井は、見慣れた自分のアパートの部屋のもので。
寝ているのも自分のベッド。
どうやら夢を見ていたらしい。
私………なんという夢を見てるんだ。
相手もいないのに、妊娠した夢を見るなんて。
そんな自分が可哀そうでならない。
この前、婦人科検診を受けたからかな…。
幸いどこも悪くないそうだ。
ちゃんと子どもを産める体だと言ってもらえた。
だけど。子どもは“一人”じゃできないんだよ。
肝心の、私と子どもを作ってくれる男性がいない。