偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
柳原さんは私を愛しているわけじゃないけど。
だからこそ逆に信じられるのかもと思ったりもする。
お前を愛している、といきなり言われるほうが信じられないもん。
胡散臭さ極まりない。
“男女の愛情では繋がっていない夫婦”
“男女の愛情以外で繋がっている夫婦”
……それもアリなのかも。
大好きだと思える人と恋愛して、ゴールイン。
そんなのは私には無理なんだ。贅沢なんだ。
私の孤独を引き受ける、いや、払拭してくれるという柳原さんの提案に乗ったほうが、この先の長い人生考えたら有益なんだろう。
そんな風に結婚のほうへ気持ちが傾くも、頭が働かず。
ボーっとしながら事務所に戻ると、知香ちゃんが待ってましたとばかりに隣の席から私の腕を取る。
「美衣子さん、何ですか今のは!」
「え?」
「だーかーら、柳原さんですよ!」