偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
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日曜の朝が来た。
頑張れ私! 偉いぞ私!

負けるな、焦るな、くじけるな。

……あ、お気に入りの歌の歌詞みたいになっちゃった。


だって、気合いを入れなきゃ行けないって。

いや、もし柳原さんのご家族に結婚を反対されたら諦めればいいのか。
そっか。普通より全然簡単な話だわ。
なかったことに、白紙にすればいいだけのこと。


とりあえず今日はスーツかなと思って、クローゼットの中を見てみたものの。
パッとしないものしかなかった。

結婚式に着ていくような華やかすぎるものは適さないだろうし。
仕事の研修で着ていく真っ黒なスーツでは重たすぎる気がする。

うーん…と悩んでも仕方ないので、グレーのスーツをチョイス。
黒よりはマシでしょう。


……メイクは薄め?
濃いめはなしだろうから、薄めで。

髪は鬱陶しくないように、後ろで軽くまとめればいいか。


支度を終えて姿見で全身チェックをしてみる。

普段会社に行くのとそんなに変わらない自分が映っていた。

……これも仕方ない。これが私なのだから。急激な変身なんて無理。


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