偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

それも結婚相手に私を選んだ理由の一つってこと?


私に、親がいないから……

うるさく文句を言ってくる心配もないって?

親族間で揉めないから、式のこともだけど何から何まで好きにできるって?


柳原さん、そんなこと思ってたんだ。
口に出して言わないだけで、心の中じゃそんな風に思ってたんだね。


お母様から爆弾を落とされ、愕然としてからは、全然会話が耳に入ってこなかった。

喜一さんが他愛ない話題に切り替えてくれたのだけは覚えてるけど。
具体的に皆で何の話をしていたかは覚えていない。

そんな状態で小一時間ほどが過ぎた頃、柳原家をあとにすることになる。


正座をしていたせいで足がしびれて、立つときによろめいて。
そのことをまたお母様に「情けない」とか何とか言われた気がするけど、それも実質よく覚えていなくて。

おそらく苦笑いしながらも会釈し、意気消沈気味に玄関を出たと思う。


ノックアウト、KOだ。
ここに来るまでに、頑張れ!ってあんなに自分で気合いを入れていたのに。

ボコボコに打ちのめされた。もちろん、精神的に。

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