偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「ほんとに柳原さん…響介さんが言ったんですか?」
先ほどボコボコに打ちのめされたのは、お母様に?
……いや、私の隣を歩く男、柳原さんに、だと思う。
「何の話だ」
「私に身寄りがないから、何でもお母様の好きにしていいって……」
「………」
私が目も合わせず魂が抜けたように呟いた質問に対し、柳原さんはしばし口ごもった。
「ああ。何でも好きに、とは言ってないが、それらしきことは言った」
「酷いですね」
「母親の了承をとりつけるためだ」
私はこの人に何を期待していたのだろう。
厚かましくも過度に期待しすぎていたのではないだろうか。