偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
『お前、自分がものすごいイイ女だとでも勘違いしてんじゃないのか?
俺は一人で孤独死するようなお前の寂しい人生を、可哀想だから拾ってやるって言ってるだけだ』
やさぐれた心のままに、目からじわっと涙が溢れそうになりながら歩いていると、先日言われた言葉をふと思い出してしまった。
彼は初めから言ってるじゃないか。
勘違いするな、と。
可哀想だから拾ってやるだけだ、と。
それでもいいから孤独は嫌だと、偽装結婚の提案に乗ったのは私の意思だ。
まだ大丈夫。迷って悩む余地はある。
婚姻届は書いて渡してしまったけど、六曜のこともあるし、柳原さんは一人で勝手に役所に出したりしないだろう。
決定事項だ、と柳原さんは言い切っていたけれど。
私が絶対に結婚しないと言えば、土壇場だろうが何だろうがわかってくれるはず。
よく考えなきゃ。自分の人生なんだから。