偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「全く意味がわかんないです。
美衣子さんって…彼氏? みたいな人いるって言ってたじゃないですか。仲良くしてる人」
「ち、違うの、その人は終わったっていうか何ていうか……」
言いにくそうに取り繕う私を、知香ちゃんが不可思議に見つめてくる。
何から説明しようか…。
「柴本、これ午後イチで頼む」
「うわっ! ビックリした! 柳原さん、おどかさないでくださいよ!」
知香ちゃんと会話していたことで、すっかり気を抜いていて。
そこへ第三者が突然現れて、再び私の心臓が止まりそうになってしまった。
「何を驚いてんだよ。普通に声かけただけで」
「いや、その……」
そう。私が気づいていなかっただけ。
何か言い訳を口にしようと思いつつ、見られてはいけないパソコン画面を咄嗟に閉じた。
「柳原さん、まだお昼休み中ですよ」
「そうか。悪い。あと10分あったな。
とにかくその仕事、午後イチな。急ぎなんだよ」