偽装結婚いたします！～旦那様はイジワル御曹司～

「私よりもその女を愛してるのよ。
そうじゃなきゃこんなに長く続いてない。私はずっと騙されてたの」

「…晴美……」

「結婚して7年よ？
私はすぐに妊娠して、翌年には長男が生まれた。
幸せをかみしめてるときにも、裏で旦那はその女とよろしくやってたの。
そう考えたら許せるわけないじゃない！」


吐き捨てるようにそう言われたら、私は頷くことしかできなかった。

何故晴美は旦那さんの裏切りに気づいたのか。
今までおかしいと思うことはなかったのか。

そんな問いも頭に浮かんだけど、もうそのレベルの話じゃない気がした。

一度や二度の裏切りじゃない。
結婚前からとなると、許せない、騙されていたという晴美の気持ちは同じ女としてわかる。


「こうなったら慰謝料ふんだくってやる。
子どもの将来のためにもお金は必要だもの」


なんだかまだ私は夢を見ているような感覚だ。
あんなに仲が良かった家庭が終わりを迎えるなんて信じられないでいる。

幸せ主婦代表みたいな晴美が、“慰謝料”って言葉を口にする日が来るとは…。