偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
そこからは、晴美はヤケ酒のようにお酒をあおり始めた。
毎日憂鬱でも子どもたちの前で疲れた顔を見せたくなかったようで。
そういう無理もあって、かなりストレスが溜まっていた模様。
だけどこの日の彼女は、どれだけ飲んでも酔わないみたいだった。
「こんなことになるなら、結婚しなきゃよかった」
ポツリと呟いた晴美の言葉が、私の胸にずしりとのしかかる。
結婚って……一体何だろうか。
恋愛と結婚は別、なんて言葉は昔からある。
恋愛は“好き”という感情だけでいいけど、結婚はそうはいかない?
本当にそうなのかどうかは、私は結婚したことがないからわからない。
“愛”という不確かなもので繋がって結婚しようとするからうまくいかないの?
じゃあ、“愛”以外で繋がってる関係のほうがうまくいく?
私と…柳原さんのように。
いや、人と人との関係だもの。
偽装結婚といえども、“人間愛”くらいは必要なんじゃないのかな。
思いやりや優しさは、生きていく上で必要なものだと思うから。