偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
本当に何を言ってるんだ、この男は。
偶然再会した元カノに、いきなり復縁を言いだすのなんておかしすぎる。

しかも会うのは3年ぶり。
しかも自分は今や妻帯者。


……待って。
もしかして、偶然じゃなかったのかな。
偶然再会したように装った可能性もある。

会社からこのショッピングモールまで私をつけてきていたとして。
自分も買い物客を装い、タイミングよく私に声をかける、という算段?

嗚呼、そんな妄想するんじゃなかった。怖すぎる!!


「私とやり直すって……奥さんはどうするのよ?」

「別れる」

「簡単に言わないで」

「やっぱ飲みに行こ。場所変えよ。
こんな話、こんなとこでするもんじゃないだろ?」


苦笑いを携えつつ、茂人は掴んでいた私の腕を自分側に引っ張る。

冗談じゃない。
私は抵抗するようにのけぞって近づくのを拒否した。


「行かないから! 私は話することない」

「美衣子」

「その手を放して!」


茂人が強引に引っ張るから。
掴まれているところが地味に痛い。

絶対に従わないぞ、と強い意志を持ちながら抵抗しているときだった。


「おい、俺の女に何してんだよ!」


横から割り込んできた人物が現れ、あっという間に茂人の手から解放される。


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