偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「俺の……女…?」
「ああ。美衣子は“俺の女”。
婚約者なんだけど。…オッサン誰?」
その男性は不機嫌さを全面に出し、茂人に堂々と正面から対峙した。
「オッサン……だと?!」
「どう見ても俺より10個くらい上なんだからオッサンだろ」
「美衣子、こんな青臭いヤツと付き合ってんのか。結婚なんてウソだろ?」
横から割って入って来てくれたのは、兼古くんだった。
おそらく偶然通りかかって、私が困ってるのを見て助けに入ってくれたんだと思う。
ここは私も兼古くんのしてるお芝居に話を合わさなきゃいけない。
咄嗟に起こったことだけど、それだけはすぐにわかった。
「ウソじゃないわ。もうすぐ彼と結婚するの」
私がそう言うと、茂人は小さく舌打ちした。
計画が狂った、とでもいったような表情だ。
「だから婚約指輪付けとけって言ってんのに…。
俺の可愛い美衣子が他の男に狙われるの嫌だよ」
兼古くんが私の肩に手を回し、ぐいっと自分の胸に引き寄せる。
…うん、男らしい。
ゲイにしとくにはもったいないくらい男らしい。