夢の終わりで、君に会いたい。
余計なことは言わない、って決めていたはずなのに結局今日だってやっちゃったわけだし……。


「私なんて宿題すらやってないよ」


慌ててフォローすると、忍はおかしそうにクスクス笑った。


「それはいつものことでしょ」


「まぁね」


肩をすくめてみせながら、忍が笑ってくれたことに心の奥でホッとした。

長くなってきた前髪を耳にかけると、黒板の上にある時計を見る。

眠る時間までまだ十二時間以上もあるなんて悲惨だ。


なんで学校なんてあるんだろう?


これさえなければずっと眠ってられるのに。

はやく時間が過ぎてしまえばいいのにな。

だいたい、今日は七時限目まである日。

勉強が大事なのはわかるけれど、そういうのってもっと大人になってから身にしみるらしいし。

自由に毎日を過ごしているほうが、もっと楽しいと思うんだけれど。


とはいえ、それが非常識であることを知っている私は、まぎれもなく常識人なのだろう。


時計とにらめっこしていると、「大丈夫?」と、忍が聞いてくる声にギュンと現実に戻された。
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