夢の終わりで、君に会いたい。
「大丈夫だってば。まだ決まったわけじゃないしさ。それに、最近寝るのがはやいだけで、実は夜中に帰ってきてるかもしれないし」


「ああ、夢ばっかり見るんでしょう?」


「うん。リアルな夢ばっかり見てる」


忍は「へぇ」と言葉に出さずに口を動かし、

「あたし、夢見ないからなぁ。で、どんな夢なの?」

と、少し目を大きく開いた。

話題がそれたことにホッとしながらも、昨夜見た夢を頭に浮かべる。


「昨日は、夜の遊園地で乗り物に乗る夢」


思い出しながら私が話しはじめると、

「うんうん」

と忍はこっちに身を乗りだしてきた。


ふと、目の前が昨日見た夢の光景になる感覚。


数ヶ月前に置き忘れてきた夏の夜の匂いがふわっと香る。

ほのかに光るオレンジのライト。


「遊園地で乗り物に何人かで乗るわけ。えっと、観覧車とかコーヒーカップとか。そうしたら乗り物に乗るごとに、一人ずつ死んじゃうの」


「何それ」


忍の視線を感じながらも、夢のクライマックスの場面を思い出す。


「最後はジェットコースターに乗るんだけど、私まで殺されちゃうって夢だった」


「ええっ、そんなの怖いよ」


眉をひそめて身震いをするので、私は首を横に振る。


「怖くないよ。だって『これは夢だ』って最初からわかってるから」
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