夢の終わりで、君に会いたい。
「夢の話?」

野球部ならではの短く切った髪をガシガシとかきながら、浩太は同じ言葉で聞き返す。

秋だというのに真っ黒に焼けている肌のせいで、歯が異様に白く光って見える。


「そ、夢の話」


「将来の?」


言われた意味がわからずにきょとんとしている浩太に、忍は「は?」という顔を作った。


「違うよ。夜に見る夢」


「ああ、そっちか。で、何?」


「もういいってば」


夢の話なんかで話題をふくらませてほしくなかったので終わらせようとするが、忍は「まかせといて」とでも言うように、私の左腕をポンポンとたたいた。


「鳴海って毎晩夢を見るんだって」


「ふうん」


ほら、やっぱり興味ない顔している。

気づかせようと忍の顔を見ると、メガネを人さし指であげているところだった。

夢中になるといつも表れる忍のクセ。


この状況は話をやめる気がない、ってこと……。


「でね、毎晩夢に飼ってた猫が出てくるんだってさ」


「猫……」


つぶやくような浩太の声を、興味があると思ったのか忍は大きく首を縦におろした。


「それってすごいよね?」
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