夢の終わりで、君に会いたい。
なぜか自慢げな忍を恨めしく思いながら、浩太にさりげなく視線をやると、案の定、時間が止まったようにポカンとしている。


そうなるよね……。


「忍、もういいから」


まわりにこの会話を聞いている人がいないことを確認しながら小声で止めた時、

「それってさぁ」

浩太が鼻から息を吐いた。

見ると、その顔が意地悪く歪んでゆく。

嫌な予感が現実に変わるのを見ているしかできない。


「鳴海が夢見がちってことだろ? 空想してんのを夢だと思いこんでんだよ」


「なっ……違う!」


やめておけばいいのについ口からこぼれた言葉を、浩太はニヤニヤしながら拾う。


「同じ猫が毎回夢に出てくるなんてありえねぇし。それに夢見がちなのは前からだろ。最近とくにボーッとしてるしな」


「うるさい」


そう言うのが精いっぱいだった。

私の気持ちなんか知らずに、浩太はすくっと立ちあがると、

「それじゃあ、現実を生きてる俺はトイレに行ってきます」

仰々しくお辞儀をして教室から出ていった。

大きくため息をつくと、いつの間にか私の視線は机を向いていた。


朝と同じようなモヤモヤが喉からこみあがってきそうで、何度も呼吸をしておさえる。
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