夢の終わりで、君に会いたい。
先生の言っていたとおり、中間テストの点数は史上最悪だった。

まだ返ってきていないものもあるけれど、この調子じゃ他もダメだろう。

テストなんてどうでもいい。はやく、親方に会いたい。

こんな息苦しい現実よりはもっと楽しいから。

乱暴に鞄の中に教科書を落とすと、立ちあがった。


「さ、帰ろう」


私の言葉に忍が軽やかに笑い声をあげた。


「今日イチ元気な声だし」


「そう?」


校門まではいつも一緒に帰る忍は、クリアファイルにいくつかのプリントを入れているところ。

今日休んだクラスメイトの家に、プリントを届けにいくのも学級委員の仕事らしい。

校門のところまで来て空を見あげると、朝とは違ってすっきりと晴れていた。

とはいえ、秋の夕刻。

赤みを帯びた空は、今日の終わりを町に告げている。


「じゃあまた」


言いかける私に忍は「待って」と、鞄をごそごそとあさる。


「これ」


忍が何かを取り出して手渡してきた。


「何これ?」


青空のイラストが印刷された包み紙。
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