夢の終わりで、君に会いたい。
「今日誕生日でしょ。サプライズだよ」


「え、マジ?」


手のひらの包み紙から目が離せない私に、忍は「へへ」と笑う。


「気づいてないと思ってたでしょ。たいした物じゃないよ。帰ってから開けてね」


「あ、うん」


「じゃ、またね。お誕生日おめでとう」


軽く手を挙げて、忍は歩きだす。

三つ編みが揺れるそのうしろ姿は、すぐに逆光で黒くなってしまう。


「あ……ありがとう」


私の声は、きっと届いてない。

本当に伝えたいことは届かない。

けど少しだけ、胸が熱くなった。

今日はじめて誰かに『おめでとう』って言ってもらえた。

最悪の誕生日だと思っていたけれど、忍のおかげで救われた気分。

鞄にプレゼントを入れると、私も家路を急ぐ。

知らずに早足になってゆく足。

学校から続く、長い緩やかな坂道をあがれば住宅街が広がる。

その先が私の家。


家の近くまで来ると、左手に公園が見えてくる。
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