夢の終わりで、君に会いたい。

――もっと高い場所で見たらどんな気持ちなのだろう。


なぜ、そう思ったのかはわからないけれど、突然降りてきた考えが視線をジャングルジムへと向けた。

緑色のペンキが塗られた丸い遊具は子供用とはいえ、二メートル以上はありそう。

あそこならもっと視界が広がるのかも。

そう思った私は、そばまで行くとあたりを見回す。


大丈夫、誰もいない。


さすがに夕暮れに高校生が遊具で遊んでいる、なんて見られたくないしね。

ジャングルジムの下に鞄を置くと、少しサビがある鉄の棒に両手をかけてから、右足を細い棒に乗せた。

誰も見ていないことをもう一度確認してから手と足を上部へと進めてゆく。

思ったよりも高い。

子供だったら平気かもしれないけれど、怖さを感じてしまうのは痛みを知っているからかもしれない。

ギュッと手に力を入れて、それでも私は上へ向かった。

きっと、いつもと違う景色が見えるはず。

ワクワクしている感情に動かされるまま、一歩ずつ慎重にあがってゆく。

ようやく一番上の横棒に手をかけて顔を出した瞬間、

「うわぁ」

一気に視界が開けた。町の黄昏が両目に飛びこんでくる。
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