夢の終わりで、君に会いたい。
「あ、雨」
誰かの声につられて空を見あげると、額にひとつ、しずくがぽつんと跳ねた。
ざわめきが波のように広がってゆき、まわりにたくさんの生徒がいることを知る。
名前も知らない先生の、
「集中!」
と、いうしゃがれた声が遠くで聞こえた。
たしか、あの先生のあだ名は……。
「ダミえもんウゼー」
浩太の声が聞こえて思い出す。
そうだった、『ダミえもん』だ。
うまいこと名づけるなぁ。
今は全校集会の最中……らしい。
たくさんの生徒が並んでいるのを見て、
「あ」
と、気づいた。
これ、夢の中だ……。
夢の世界では、現実と色が違っているからすぐにわかる。
私以外のすべての色が薄いのだ。
人も校舎も空だって、水彩画のようなそれらが、これは夢だと教えてくれる。
両手を広げてみる。
とくに変わりのない色の手のひらに、雨の粒がパタパタと当たっている。
感覚はあるような、ないような。
逆に、隣の舌打ちをして空を見あげている生徒は、色鉛筆で薄く塗ったかのような色をしている。