夢の終わりで、君に会いたい。
「うん、やっぱ夢だ」

それにしても全校集会の夢なんてツイてないなぁ。

どうせ見るなら、親方と部屋で遊んでいる夢がよかったのに。

それでも夢の世界の時間ははやい。

大事なシーンだけを見せてくれるダイジェストのように、次々に場面は変わってゆく。


気づくとたくさんの生徒が校舎に向かって歩みを進めていた。


その波に私は流されている。集会が終わったのか中止になったのか、という場面らしい。

どんどん強くなる雨は地面をたたくように打ちつけ、少しでもはやく校舎に入ろうとする生徒で入り口は混みあっていた。

ようやく下駄箱まで来た頃には制服はじっとりと重くなっていた。


「リアルな感じが嫌だな」


ふと、その時。

階段をのぼる生徒たちの足もとに、見覚えのある色を見たような気がした。

白をベースに茶と黒の三毛猫色が一瞬見えた。

薄く色づけられた生徒たちの中に、なつかしい配色がたしかにいた。


「親方？」


今日も追いかけっこの夢なの？



また走るのか……。
< 42 / 79 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop