夢の終わりで、君に会いたい。
ビックリした……。


いつの間に人がいたんだろう。

声の主は、まっすぐに私を見ていた。

顔を確認するより前に、その目に吸いこまれる。

まるで、怒っているみたい。

ふと、違和感。


あれ……? 

こんな人この学校にいたっけ?

まだ夏休み後だから知らない顔があっても不思議ではないけれど、たいてい見知った人しか夢には出てこないから。

ふわっとした髪に、短く切りそろえられた際のあたりがよく似合っている。

だけど、間違いなく怒っているのはどうして?


「あ、あの」


そう口にしながら顔に笑顔をなんとか作った途端、一瞬の間をとってから彼は言う。


「お前さ、バカ?」


「……え?」


今、なんて言ったの?


口に笑みを作ったまま固まった私に、さっきよりも眉を吊りあげた彼が口を開いた。


「こんなところでボーッとしてるなんて、お前はバカか、って聞いたんだ」





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