夢の終わりで、君に会いたい。
「ムカつく!」


薄暗い空に向かって叫ぶと、前を歩いている忍がクスクス笑いながら振り返った。


「さっきからそればっかじゃん」


「だってさぁ」


ふくれっ面で忍の横に並びながら、今がもう夕方になっていることを理解した。

また時間を飛び越えたみたい。

そして、私は今日ずっと「ムカつく」を繰り返していたらしい。

対象となりうる人は考えなくてもわかる、あの見知らぬ男子。

そりゃそうだよ。

初対面であんなこと言われてそのままニコニコしていられるはずがない。

場面が変わっちゃったから不明だけど、あそこまで言われてそれでも私は笑っていられたのかな。


ううん、知りたくない。


夢の中でまで感情をかき乱されるとは……。


「人をバカ呼ばわりするなんて、ほんっと許せない」


忍は「はいはい」となだめるように言いながら空を見あげた。


「とりあえず雨はあがったみたいだしよかったね」


いつもより薄い色の忍が鞄からプリントを取り出す。


「何これ?」


「中間テストの答え。鳴海、落ちこんでたっしょ」
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