夢の終わりで、君に会いたい。


夢の終わりはいつも唐突に。

目を閉じたまま、遠くなってゆく新聞配達のバイクのエンジン音が耳に届く。

感情はブルー。

もう少し夢の中にいたかった。

だけど、親方にも会えない夢だったな……。

ああ、忍が泣いていたっけ。

変な夢だった。

ようやく目を開くと、そこには当然泣いている忍はおらず、あるのは見慣れた白い天井。

のそっと起きあがって時計を見ると、起きる時間の十分前。

だいたい目覚ましが鳴る前に目が覚めることが多い。

つまりは、眠りが浅いのだろう。

たくさん夢を見るのもそのせいかもしれない。

とはいえ、寝ている時間が長いから、目覚めだけは自分でもよいほうだと思う。


「よし」

気合いを入れながら起きると、

「あれ?」

視線は机の上で急停止。

机の右端に、見慣れない物が置いてある。

近づこうとして思い出す。

昨日忍がくれたフォトフレームだ。


「え? なんで?」


昨日ガラスを割ってしまって、そのまま鞄の中に入れておいたはずなのに……。

それに、フォトフレームにはなぜかもう写真が入っている。
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