夢の終わりで、君に会いたい。
「なんでもない」


こういうところで、つい余計なことを言ってしまうからおかしくなるんだ。

詮索するのはやめてパンにかぶりついた。

それを合図に、お姉ちゃんが立ちあがる。


「じゃあ行ってくるね」


お姉ちゃんが食器を台所に運びながらお母さんに告げ、そして私を振り返る。


「鳴海、気をつけて学校行ってね」


「あ、うん」


残された私はパンを口に入れたまま、またしても固まる。

どうしちゃったんだろう? 

なんかだすっごく気を遣ってくれている。

いいことでもあったのかな。

最後までチラッと私を見てからリビングを出てゆくお姉ちゃん。


一体なんなの?


「よいしょ」


ふと、気づくと、お母さんが困ったような顔をしながら前の席に座るところだった。

嫌な予感がふわっと胸に訪れる。

こういう顔をするときは、たいてい聞きたくない話ばかりなのを、これまでの経験値が教えている。


これは朝から嫌な展開だ。
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