夢の終わりで、君に会いたい。
「今日は雨が降るらしいわよ。傘持って行きなさい」


「うん」


素直にうなずいて、傘立てにあるお気に入りの青い傘を手に取った。


「車に気をつけて」


そんな言葉言ったこともないのに。驚いた表情に気づいたお母さんは「あら」と自分の口を片手で押さえて、

「さすがに気を遣いすぎね」

と、目を丸くした。


「じゃ、行ってきます」


少し晴れやかな気持ちで扉を開けると、厚い雲が町の色を翳らせていた。

これでいいんだ、と思う。


勉強ができない私でも、誰かが傷つくのを避けることはできるはず。



そうやってこれまでもやってきたのだから。




















< 58 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop