夢の終わりで、君に会いたい。
「これ、夢で見た……?」


そんなことあるはずないのに、雨がはじけた額にそっと手をやってあたりを見回す。

薄い景色だったあの場面が現実と重なってゆく。

キーンとマイクの音が鳴り、

「集中!」

と、いうダミ声が遠くで聞こえた。

このあと、先生のあだ名をたしか浩太が。


「ダミえもんウゼー」


「……同じだ」


夢の中で、うまいこと名づけるなぁ、なんて思ったんだ。

まわりを見渡すと、みんな薄い色ではないからこれは夢ではない。

もう一度頬に手を当ててみると、しっかりと感覚もあるし、徐々に強くなる雨が頬を髪を、手を濡らす感覚も現実のもの。

隣の人が舌打ちをして空を見あげる。

まるで遠い昔に見た映画をまた見ているみたい。

詳細は思い出せないけれどなんとなく感覚が「知っている」と訴えている。


「えー、雨も降ってきましたので、これで全校集会を終わりにしたいと思います」


校長先生の声に、生徒たちが次々に口を開く声が大きな音となり、あたりに広がっていた。

ぞろぞろと、みんな校舎の入り口をゴールにして歩きだすのを不思議な気持ちで見ていた。
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